特定非営利活動法人バイオミメティクス推進協議会

国内外の情報(2023年)   

(2023/12/21)
生物からインスピレーションを得てAIアルゴリズム開発とロボット応用
 アリゾナ州立大学 (ASU)のTed Pavlic、Spring Berman とJennifer Fewell は、ボストン・フュージョン・コーポレーションと協力して、自律システムのパフォーマンスを向上させるための生物由来のAIの研究を、米国国防総省から資金提供を受けた取り組んでいる。 アリのコロニーが真の脅威に関する情報を増幅させる一方で、誤った警報を自然に弱めるように組織化されていることにみいだし、AIへの応用研究を行っている。(ASU)

(2023/12/7)
ヘビ型ロボットの開発(中国)
 ヘビロボットは、閉鎖空間などの困難な環境での活用が期待されている。ランカスター大学、北京工業大学、華北理工大学の研究者らは。20 自由度 (DoF) のヘビのようなロボットームの開発を行った。(Bioinspiration and Biomimetics

(2023/11/30)
有機フッ素不使用超撥水テキスタイル
 東レが有機フッ素化合物(PFAS)を使用せず、優れた水滴除去性を実現した撥水ストレッチテキスタイルDEWEIGHT®を開発した。DEWEIGHT®は、2種類のスパイラル構造を有する原糸で、特殊な凹凸構造を形成し、この表面に載った水滴の下には複雑な空気の層が生まれるため、水滴が転がるように滑落する撥水性が発現する。(東レ)

(2023/11/8)
エアバス:Airbus UpNextの生体模倣翼
 エアバスは、バイオミメティクスを使用して、空力効率を最大化するために飛行中に形状を変えることができる翼を開発している。超高性能翼を搭載するAirbus UpNext・Cessna Citation 7は、地上との接続のための飛行試験飛行を開始し、2025年に「eXtra Performance Wings」を備えたデモンストレーターを地上から無人で操縦して最初の飛行を準備している。(Aero Spatium)

(2023/10/17)
家電に貢献するバイオミメティクス
 シャープは、「CEATEC 2023」(2023年10月17~20日、幕張メッセ)のアドバンスドテクノロジーエリアにおいて、「Next-generation global environment」をテーマに出展し、その中のひとつのゾーンで「独自技術(ネイチャーテクノロジー)」を紹介した。(MONOist

(2023/10/13)
クモの器官から着想したひずみ計測
  東京大学、神奈川県立産業技術総合研究所、宇都宮大学、科学技術研究所は共同で、クモの脚関節近くの亀裂が平行に並んだ器官を参考に、ひずみが測れる光センサーシートを新たに開発した。(神奈川県立産業技術総合研究所

(2023/10/4)
Shape Morphing Robot
  コロラド州立大学(CSU)の研究者らは、体と脚を変化させ、生物のさまざまな環境への適応性を模倣できる3体の注目すべきロボットを発表した。(Nature

(2023/9/1)
テラコッタ冷却装置
  サンゴを思わせる冷却装置の波打つパターンは、自然の知恵と現代テクノロジーを統合したアルゴリズム設計アプローチによって、デザイン会社EntreautreのSimon Pavy によっては設計された。(Designwanted

(2023/8/23)
ウニの外殻に基づく木造シェル
  ドイツのフライブルク大学に設置された〈livMatS 生物模倣シェル(livMatS Biomimetic Shell)〉は、ウニの外殻の原理に基づいた木製シェルで解体・再利用を容易にする分離可能な構造体になっている。(TECTURE MAG)

(2023/8/22)
Sanaka AI
  Sakana AIは、2023年8月に東京で設立したAI研究開発のスタートアップで、Google Brainの日本部門統括として複雑系や自律システムの研究を指揮してきたDavid Haと、現在の生成AIの普及につながるTransformerモデルを研究するLlion Jonesが設立した。自然の集合知 (魚の群れや蜂の巣などのシステム) から着想して、経済効率の高い AI モデルの設計をめざしている。(NFT Evening

(2023/8/17)
「種子を散布する」ランニングスニーカー
  動物の毛皮に付着して種子が輸送される移動現象を模倣したランニングスニーカー(コンセプトシューズ)。(Neozone)

(2023/8/2)
ムラサキイガイから発想した紫外線でリサイクルできる接着剤を開発
 波長の違う紫外線をスイッチにして強い接着と容易な剥離を両立し、リサイクルが可能となる接着剤を物質・材料研究機構(NIMS)が開発した。植物全般に存在する「カフェ酸」に注目した研究成果として着目されている。(サイエンスポータル

(2023/7/21)
葉脈の数理解析
 九州大学の研究グループは、画像解析と深層学習、形態測定を組み合わせることで階層的で複雑な葉脈の「かたち」を特徴づけるフェノタイピング手法を開発し、葉脈の「かたち」の多様性と規則性を定量的なデータ解析に成功した(九州大学

(2023/6/14)
ベントレー環境財団
 高級車製造のベントレーモーターズはベントレー環境財団(Bentley Environmental Foundation)を設立し、ネットゼロを越える取り組みを推進する。最初のプロジェクトの一つとして、Biomimicry InstituteのRay of Hope Prizeを支援する。

(2023/4/23)
『生き物たちが先生だ』
 生き物が持つ優れた仕組みを解明し、ものづくりに生かす「バイオミメティクス」の考え方を丁寧に解説した児童書が刊行された。(針山孝彦 くもん出版

(2023年/4/19)
蓮の葉効果を生み出す表面構造をつくる加工機
 RYODENは樹脂や金属の表面に模様を加工し、はっ水機能を施すレーザー加工機を信州大学と共同開発し、今秋をめどに発売する。(日本経済新聞

(2023/6/6)
サボテンのシェーディング特性
 ネブラスカ州の建築設計企業DLRとバイオミミクリー建築デザイを手がけるHans Papke氏は、サボテンのシェーディング特性を模倣した鋼板に利用したオフィスビルを設計した。Hans Papke氏へのインタビュー記事がDaily Commercial Newsに掲載された。(Daily Commercial News)

(2023/5/22)
昆虫の耳から着想したマイク設計
 昆虫の耳から着想して3Dプリンティングによる聴覚デバイスの開発を進めている。最近の研究動向がIEEE Spectrumに掲載された。
夜行性の蛾であるアクロイア・グリゼラは、音がどの方向から来ているかを識別することができ、幅わずか0.5ミリメートルの鼓膜1枚だけで識別することができることで着目されている。また、サバクトビバッタの耳のような精度で異なる周波数の音を分離する機械的な方法があれば、人工内耳にも役立つだろうと言われている。(IEEE Spectrum

(2023/4/27)
自動車分野へのバイオミメティクス展開
 アメリカ自動車技術会の2023 年 SAE Internationalの技術セッションでは、バイオミメティクスを活用するためのベストプラクティスに焦点を当て、現代のモビリティを改善する新しい方法を刺激する自然界のいくつかの成功事例が紹介された。(MOTOR TREND)

(2023/4/4)
人工筋肉
 ザールラント大学とザールブリュッケンのメカトロニクス・オートメーション技術センター (ZeMA) の彼の研究グループは、スマートロボットの胴体や触手に使用するさまざまな種類の人工筋肉を開発している。FESTO社と共同で、形状記憶合金ニッケルチタンで作られた人工筋肉と人工神経を用いたロボットアームは動物のアームと同じくらい柔軟で機敏になることをハノーバーメッセ 2023で発表した。(Eurekalert)

(2023/3/28)
組織工学および再生医療における生体模倣材料
Biomimetic Natural Biomaterials (BNBM)のの最近の進歩について総説が発表された。BNBMの製造における最近の進歩、細胞外マトリックスの生物学的および物理化学的特性などが報告されている。(Military Medical Research

(2023/3/22)
持続可能なソフトロボット
 ソフトロボット工学の分野において、持続可能な材料が緊急に必要であると考えられている。 生分解性部品は、特に医療活動、捜索救助活動、危険物質の操作などの使い捨て用途に持続可能なソリューションを提供する可能性があり、生分解性電気油圧アクチュエータのソフトロボットへの応用が研究されている。(Science Advances

(2023/3/22)
イモムシをヒントにしたソフトロボット
 ノースカロライナ州立大学の研究チームは、ウコンノメイガ(Pleurotya ruralis)という蛾の幼虫をモデルにした全長9cmのイモムシ型ソフトロボットを開発した。(Science Advances)

(2023/3/1)
『おはなしサイエンス バイオミメティクス(生物模倣技術) マンボウ、空を飛ぶ』
 登場人物の華と照太が、日本宇宙先端事業団の研究者に、マンボウ飛行機の構想を教えてもらい、マンボウ飛行機の将来を考える児童書が刊行された。(作:吉野万理子 絵:黒須高嶺  講談社

(2023/2/7)
水陸両用ロボット
 イスラエルのBen-Gurion大学の研究チームは、陸上でも水中でも非常に速く動くAmphiSAW(Amphibious Single Actuator Wave)を開発した。 陸上では、ロボットは 1 秒あたり 1.5 体長 (B/s) で這い、また、0.74 B/s で泳ぐことができる。(Bioinspiration & Biomimetics)(Guetta, Omer, et al. "A novel wave-like crawling robot has excellent swimming capabilities." Bioinspiration & Biomimetics 18.2 (2023): 026006.)

(2023/1/24)
カモメ最適化アルゴリズム
 英国、中国、オーストリアの研究者チームは、カモメの習性を利用してより優れたクラウド コンピューティング システムを構築しようとしている。研究者らは「カモメ最適化アルゴリズム」を使用している。 カモメの狩猟と移動行動を模倣するメタヒューリスティック アルゴリズムにより、クラウド コンピューティングのエネルギー効率が向上し、消費電力が 5.5% 削減され、ネットワーク トラフィックが 70% 軽減されると述べている。(Internet of Things and Cyber-Physical Systems

(2023/1/20)
Symphony of Lives(いのちのシンフォニー)
 教育現場で活用されているものづくりゲームの一種であるMinecraft Education(教育版マインクラフト)を利用した2022 Minecraftカップが、生物多様性を守るワールドを大会テーマとして開催された。さいたま市立高砂小学校の6年生と3年生のチームは、バイオミミクリー(生物模倣技術)で、森の生態系を実現した街を作成し、2022全国大会でミドル部門を受賞した。(Minecraftカップ

(2023/1/18)
火星の地表を探索するトカゲ型ロボット
 南京航空航天大学の研究者らは最近、赤い惑星の表面の探査に役立つ可能性のある、トカゲにヒントを得た新しい四足ロボットを開発した。この生体模倣ロボットは、柔軟な背骨のような構造と 4 本の脚で構成されている(Biomimetics